【離島での育児と働き方】第一子育休中に第二子を妊娠し退職。保育園に入れない現実と、失業保険延長・職業訓練を相談したリアル体験談
はじめに:離島での育児と働き方は“制度通り”には進まない
私は離島の発電所に転職して 1 年ほど経った頃、第一子を妊娠しました。
女性従業員は前例がなく、育休手続きは職場にとっても初めてのケース。私自身もネットや書籍で勉強しながら、事務担当の方と一緒に進めていきました。こちらから書籍を渡したり、ToDo リストを作ったり、主体的に動けたことは良い経験でした。
しかし、育休に入るまでは「離島でも預けられるだろう」と思い込んでいた保育園事情が、実は本土とはまったく違うことを後から知りました。
- 預かり時間は 9〜15 時の短時間のみ
- 長期休暇(夏休みなど)は休園
- そもそも 0〜2 歳の枠が極端に狭い
この状況では、フルタイム勤務はほとんど不可能。
「制度上はこうなるはず」が、現実ではまったく違う。そんなギャップに直面しました。
さらに第一子育休中に第二子を妊娠。36 歳という年齢の焦りもあり、一度初期流産を経験したこともあって授かったことは嬉しかったものの、働き方・預け先・生活のすべてに再び向き合うことになりました。
結果的に、私は復職できないまま退職という選択に至りました。
これは「自分の意思で決めた」というより、環境に追い込まれた部分が大きかったと思います。

【時系列】私の状況まとめ
- 第一子:令和5年10月生まれ/育休開始
- 離島唯一の保育園が人員不足・短時間保育で復職不可 → 満2歳まで育休
- 第二子妊娠がわかり退職(令和7年10月)
- 第二子 28 週(令和7年12月)の妊婦健診で本土へ行くタイミングで 失業保険の延長手続き
- 離島の保育園には第二子も 3 歳までは入れない可能性大
- 産後、里帰り先(香川県)で職業訓練または一時的な就労を検討中
離島で保育園に入れないという“現実”
人口200人以下の私が住む離島には保育園が 1 園のみ。
園児は全体で 10〜12 名ほど。職員は正規 2 名+補助員 1 名の3人体制です。
特に厳しいのが 0〜2歳クラスの枠の少なさ。
現在も島の 2 歳児 3 名が待機児童という状況。
選択肢がないため、どれだけ努力しても預けること自体がほぼ不可能。
ベビーシッターや一時保育などの民間サービスもゼロ。どちらの実家も島の外で、頼れる人もいません。
「保活すれば何とかなる」
「預けられたら働ける」
――そんな本土の当たり前は、離島では当てはまりませんでした。
育休中に第二子妊娠 → 退職を選んだ理由
第二子の育休をそのままつなげる案もありました。しかし、保育園の状況から復帰の見込みは立たず、事務員さんからも「保育園と相談して」としか言われず、打つ手がありませんでした。
勤務時間の調整や時短勤務も不可という職場状況。
第二子の妊娠中は体調も揺れやすく、次第に精神的な疲れが大きくなっていきました。
最終的に、
- 預け先がないため復帰できない
- 妊娠中の通院が過酷(片道5時間・最低2泊)
- 上の子を連れての本土通院は毎回かなりの負担
- 精神的に限界が近かった
これらの理由から、退職を決意しました。
収入がなくなる不安よりも「これ以上ストレスを受けたくない」という気持ちが勝った瞬間でした。
失業保険(基本手当)の“延長”を実際にやってみた
退職後すぐに就労が難しいため、失業保険の受給期間を延長する手続きを行いました。
■ なぜ延長が必要?
失業保険は退職から1年間が原則。
ただし妊娠・出産・育児などで働けない場合は 最大3年間の延長が可能です。
■ 手続きを行った場所
鹿児島市のハローワーク(妊婦健診で本土に来たタイミングで来所)
■必要書類
- マイナンバーカード(本人確認)
- 離職票 1・2(退職時に会社からもらう)
- 母子手帳(延長の要件確認のため)
■ 所要時間
平日午後で 1〜2時間ほど
■ 印象に残った説明
- 延長中に単発でも働くと、「働ける」と判断され延長が終了
- 産後8週間以内は就業不可のため再開できない
- 延長は最大3年なので再開タイミングは慎重に
- 今回記入した延長申請書類と離職票1・2は再開時に必要のため大切に保管しておく
■ 離島住みの注意点
- 往復4時間以上の地域はオンライン失業認定の対象
- ただし 延長の再開(初回手続き)はハローワーク来所が必要
ハローワークで相談したこと(里帰り先・職業訓練)
出産後しばらくは香川県の実家で過ごす予定なので、
- 香川県で職業訓練に通えるのか
- 香川県での失業保険の受給は可能か
を相談しました。
回答はこんな感じでした:
- 原則は「住民票移動が必要」
- ただし県によって 他県訓練の特例がある
- 詳細は香川県のハローワークに要確認
県ごとに基準が全く違うため、事前相談が必須とのことでした。
これからの働き方の見通し
■ パターン①〜里帰り先メイン編〜
産後半年〜1年後、香川県で託児を利用しながら職業訓練→第2子が3歳まで香川県で準職員やパートとして働く。
■ パターン②〜離島メイン編〜
上の子の保育園入園時期に合わせて離島へ戻る。第二子が保育園入園できるまでは無理に働かず、香川と離島を行き来しながらメンタル優先で生活。
■ 将来の不安と希望
- 夫は島で公務員 → 一時的に別居になる可能性
- 子どもと父親の時間が減る
- 香川で働き始めると、私が島に戻りたくなくなるリスク
- 実家の祖母の負担増
- 私は介護・看護師・保育士など資格があり、働こうと思えばすぐに働ける心強さもある
同じ状況の人へ伝えたいこと
● 離島は「制度の想定外」が多い
本土での当たり前が通用しません。
● 育休延長・失業保険延長は早めに調べて
離島住みだからこそ、制度の細かい部分は自分から動いて確認する必要があります。
● 妊娠・退職が重なった人は、必ず情報を取りにいく
知らないまま損する制度が多いです。
● ハローワークで聞くべき質問をリスト化
私は事前に質問を用意して行ったことで、基本手当の計算方法(育休前の給与ベース)など大事な点をクリアにできました。
● 保育園に預けられなくても「詰み」ではない
地域をまたぐ選択で道が開けることがあります。独身時代からスキルを身につけておくことでいざという時に働ける状態にしておくと心強いです。
おわりに:離島育児は大変だけれど、知識と準備があなたを助けてくれる
離島で育児と働き方を両立するのは簡単ではありません。
保育園の問題、通院・交通、制度とのずれ、頼れる人の少なさ…。
どれも「普通に生きる」だけでハードルが高いと感じることばかりです。
でもその中でも、知ることで避けられる負担や
早く動けば選べるルートが必ずあります。
私は今回退職に至ったけれど、第一子とゆっくり過ごした2年間はかけがえのない時間でした。今後も家族にとって一番良い選択を探しながら、状況に応じて柔軟に働き方を変えていくつもりです。
この記事が、同じように悩む誰かの「道しるべ」になれたら嬉しいです。


